こんにちは。
人から親切にプレゼントされた時「何かお返しをしないと」と感じた経験あるのではないでしょうか?
ここには”返報性”という人間社会においての普遍的原則が働いています。
原則が分かれば、騙されたり丸め込まれるのを防ぐ盾にも、ビジネスで活用する剣にもなり得ます。
今回は、心理的メカニズムを解明した著書「影響の力の武器」の中から、1つ紹介したいと思います。
行動心理学:返報性の原理
返報性の原理とは
返報性(へんほうせい)原理とは何でしょう?
- 相手から何かを受け取ったときに「こちらも同じようにお返しをしないと申し訳ない」という気持ちになる心理効果 のこと
- 「目には目を、歯には歯を」のような復讐にも対しても、同様の効果を持つ
- 「影響力の武器」の中でも最も強力
人間社会における例
例を1つ紹介します。
- ハレ・クリシュナは1965年にアメリカで設立されたヒンドゥー系新興宗教
- ダボダボの僧衣で、足に布を巻いた信者が、鐘や太鼓を鳴らしながら街頭で歌い、踊る
- 信者の多くは欧米の白人で、ヨーガを学び、徹底したベジタリアン
- 信者は空港や駅のような人通りの多い場所で、通行人の手にいきなり花を押し付ける
- 通行人は「こんなのいらない」と抗議するも「いいえ、これは私たちからのプレゼントです」と言い張って返すことは許さない
- 一輪の花を思わず受け取った人は、花を手に立ち去ろうとするも、返報性の原則で引き戻され寄付をしてしまう
- ハレ―・クリシュナはこの単純戦略で、富を生み出し、アメリカ国内と外国に180ヵ所もの協会支部を築いた
この例をみても、返報性の原則はシンプルながらも非常に強いことが分かります。
現代で言えば、SNSの「いいね!」やお中元・お歳暮、無料サンプル、貸しを作る、相手に好意を伝えるなど幅広い行動でも作用していると考えられます。
人間以外にも成立する返報性の原理
人に親切にしてもらった時、お返しをしないと生理的に不快になる。逆に、親切にしないとお返しがないと、もっと不快になる。
この「返報性の原則」が働くのは人間だけではありません。
チンパンジー
チンパンジーたちは毛づくろいから性行為まで、様々なサービスと引き換えに分け前を与えようとします。この効果を発揮しているのは返報性です。
気前のいいサルは輪の中にさりげなく入るだけで簡単にエサが貰えますが、ケチなサルは、どれだけしつこくねだっても相手にされません。

エサを取ったから、みんな分けよう!
チンパンジーも人間と同様、贈与と返報によって社会ルールを作っていきます。
相手の腕に噛みついたチンパンジーは、復讐を心配し、頻繁に怪我させた腕を覗き込み、毛づくろいをして和解を持ちかけます。和解出来ない場合、出来るだけ味方を増やそうと仲間にエサを分け与えたり、親切にしたりします。
吸血コウモリ
吸血コウモリは夜になると巣を飛びたち、牛や豚、馬など背後に忍び寄り、3mmほどの鮮やかな切り傷をつくります。コウモリの唾液には血液凝固を防ぐ物質が含まれており、1回の食事で体重の40%もの血を吸って帰路につきます。
吸血コウモリは空腹のままでは3日で息絶えてしまう上、血は腐りやすく保存が効かないので余裕はありません。しかし、かなりの数の吸血コウモリが血を吸うことなく、腹をすかせたまま帰路につきます。
なぜでしょうか?
それは、仲間に血を分け与えているからです。

お腹すいたけど、エサはみんなに分けよう
吸血コウモリは、過去に自分に血を贈与してくれた仲間を記憶しています。今は満腹のコウモリも3日後には飢餓に怯えるかもしれない。
それを相互扶助の仕組みを使い、仲間を助けることで合理的に生きているのです。
まとめ
著書「影響力の武器」の中から、「返報性の原理」について紹介しました。
- 相手から何かを受け取ったときに「こちらも同じようにお返しをしないと申し訳ない」という気持ちになる心理効果 のこと
- 「目には目を、歯には歯を」のような復讐にも対しても、同様の効果を持つ
- 「影響力の武器」の中でも最も強力
返報性の原理は、人間以外の生物にも、遺伝子的にプログラムされています。
知っておけば騙されたり丸め込まれるのを防ぐ盾にも、ビジネスで活用する剣にもなり得ます。
最後に、鬼滅の刃 丹次郎のセリフを残して終わります。
『人のためにすることは結局、巡り巡って自分のためにもなっているもの』
以上です。
ありがとうございました。
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